イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で



「...でも、久隆は彩のこと好きなんじゃない?」


まるで当たり前かのように言った。


なんでそうなるの?


「わたしたちのあいだに、恋愛感情なんてないよ。ただの幼なじみなんだから...」


暁のこと、そんなふうに見たことないし、見られたことだってない。


「...でも、少なくとも久隆は、彩のこと、他の人とは比べ物にならないくらい、大切だと思うよ」


まるで暁の心情がわかっているかのような言い方。


「暁が...そう言ってたの?」


「いいやちがう」


「それならどうしてそう思うの...」


「それは、...」


「そんなこと、夕くんに...言われたくないよ...」


思わずそんなことを口にしてしまった。


まるでわたしと暁の仲を進めるような物言いに、なんだか切なくなった。


まるであのころの気持ちが戻ってくるみたいに、胸から熱いなにかが込み上げてきた。

< 146 / 198 >

この作品をシェア

pagetop