イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で
運動会前日ーー
わたしは夕くんに別れを告げた。
今思えば、ほんとにおかしい理由だと思う。
だけど、“恋愛”はものすごく大事だけど、
人生において“友情”はもっと大事だとそのときのわたしは考えてしまったのだ。
一方的に別れを切り出したわたしに、夕くんはなにも言ってこなかった。
引き止めなかったってことは、もしかしたら、夕くんの気持ちはそこまでじゃなかったのかもしれない。
わたしから別れたくせに、勝手にそんなふうに自ら傷ついた。
苦しかった。
夕くんと別れて、無事カナエちゃんとも向き合えるはずだったのに。
毎日苦しかった。
どうすればよかった?
なにが一番正しい選択だった?
あのころのわたしは、なにも見えてなかった......。
夕くんとはそれきり、一度も会話せず......。
カナエちゃんも、残念なことに入試は不合格で、第二希望の高校へと進んだ。
だからカナエちゃんとも卒業以来会っていない。
わたしはなにがしたかったのだろう。
だけど、夕くんに話しかける勇気なんて、わたしにあるわけがなかった...。