イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で


運動会前日ーー


わたしは夕くんに別れを告げた。


今思えば、ほんとにおかしい理由だと思う。


だけど、“恋愛”はものすごく大事だけど、

人生において“友情”はもっと大事だとそのときのわたしは考えてしまったのだ。


一方的に別れを切り出したわたしに、夕くんはなにも言ってこなかった。


引き止めなかったってことは、もしかしたら、夕くんの気持ちはそこまでじゃなかったのかもしれない。


わたしから別れたくせに、勝手にそんなふうに自ら傷ついた。


苦しかった。


夕くんと別れて、無事カナエちゃんとも向き合えるはずだったのに。


毎日苦しかった。


どうすればよかった?


なにが一番正しい選択だった?


あのころのわたしは、なにも見えてなかった......。


夕くんとはそれきり、一度も会話せず......。


カナエちゃんも、残念なことに入試は不合格で、第二希望の高校へと進んだ。


だからカナエちゃんとも卒業以来会っていない。


わたしはなにがしたかったのだろう。


だけど、夕くんに話しかける勇気なんて、わたしにあるわけがなかった...。

< 154 / 198 >

この作品をシェア

pagetop