イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で
上等じゃねえか
昨日、暁に夕くんの番号を聞けなかったけど、
今日こそ、聞かなきゃ。
でないと、またいつ夕くんに会えるかなんて分からない。
もう二度と、会えないかもしれない。
正直、今夕くんのことを好きかと聞かれると、そういうわけではない。
だけど、仲がよかったころみたいに話をしたい。
素直にそう思うから。
コンコン
夕飯を食べ終わり、暁がお風呂に入ってしまう前にわたしは暁の部屋の扉を小さくノックした。
「なに」
中から暁の声が聞こえて、少しドキリとしつつ、ゆっくりと扉を開けた。
「あ、あのさ...暁」
暁は机に座って課題をしている様子。
「ん?」
シャーペンを止めてクルリとイスごとこちらに向いた。
暁は普段の顔つきでも、瞳が鋭い。
最近なぜだか、その瞳に見つめられると、なんだか上手く呼吸ができなくなるような感覚になるんだ。
ほら...今も。
「えっと...」
「どしたんだよ」
変に思われる。
はやく言わなきゃ...!
「っゆ、夕くんの...!携帯番号教えてほしいんだけど...」
わたしは自分の携帯を握りしめて、最低限暁に聞こえるだろう声量でそう言った。