イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で


「元カレか」


そんな言葉がわたしの背中に飛び交った。


わたしは思わずクルリと振り返って、暁の顔をジッと見た。


「なんだよ」


ふつふつと胸からなにかがふき上がる感情を覚えた。


「...そういう言い方しないで」


反論しないではいられなかった。


「は?」


「夕くんは、“元カレ”なんて軽い言葉で表せるような人じゃない。暁と一緒にしないで...!」


わたしの言葉に暁はさっきよりも深く眉間にシワを寄せた。


「俺と同じって、どういうことだよ」


「...暁が誕生日の日の合宿先で、電話で言ってたじゃん、“元カノ”とか軽いかんじで!それに、わざわざ元カレなんて言わなくても友達っていえばよかったじゃん」


たしか、マナっていう名前だった。


“マナと家に泊まりなよ”なんて言われてたことも、はっきりと覚えてる。


元恋人が、別れたのにお泊まりするってどうなの?

実際、してはないけど。

でも、次の日学校じゃなかったら、していたのかもしれない。

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