イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で


「...一つだけ、お願い聞いてもらっていいかな」


彼は真剣な瞳で真っ直ぐにわたしを見た。


お願いっていったいなんだろう。


「今週の日曜日、俺、久隆と勝負するんだ。それを見に来てほしい」


陸上の勝負、だよね。

暁と夕くん、種目まで一緒だったの...!?


彼は言葉を続けた。


「7月に大会があって、100メートル走に一年が一人だけ出場できるんだ。

今のところ、俺が出るって決まってるんだ」


一年のなかで一人だけ夕くんが選ばれたんだ、すごい...!


でも、それなら、どうして暁と勝負しないといけないの...?


「...実は、5月20日に、選手決めをしたんだ。...一年の中で飛び抜けて久隆が足が速いから、部員のみんなも、正直監督も久隆を出す気でいたと思う」


「え...」


暁が、夕くんよりも、速いんだ。


ふつう、一番速い人を、選手に選ぶはずじゃ...?


「...5月...20日?」


夕くんが告げた日付にとても違和感を感じて、自分でも繰り返してみた。


わたし、思い出して。


5月20日って言ったらーー。

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