イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で
肩甲骨を伸ばして...そう、次は腰をまわして...。
暁がマラソン大会の練習で教えてくれたストレッチが昨日のことのようによみがえる。
暁、自分の部活もあるのに、毎日わたしの練習付き合ってくれたよね...。
思い出しただけで、胸がきゅっと熱くなった。
最後に足の爪先を伸ばしたところで、ふたりのストレッチは終えた。
ふたりとも、位置について、クラウチングスタートの構えをとった。
きっと、わたしの心臓は、ふたりよりもドキドキしてる。
まだスタートしていないのに、すでにもう、目が、離せない。
バンーー!
監督がピストルを鳴らした。
ふたりはほぼ同時に駆け出した。
10メートル。
20メートル。
ふたりとも並んでる。
は、速い...!!
今までに見たことがないほど。
ふたりともが、だれよりも圧倒的だ......。
息をのみ、瞬きするのも忘れた。
無意識にぎゅっと手をにぎりしめた。