イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で
「暁が...勝った...」
思わずつぶやいた。
暁が勝った......っ!!
暁が夕くんを追い越したのは、残り10メートルのところだった。
暁はやっぱり怪物なのかもしれない。
.........どうしよう...。
...うれしい......。
暁が勝って、めちゃくちゃうれしいよ...。
夕くんに頼まれて、ここに来たはずなのに。
暁におめでとうって言いたくて、仕方ない...。
だけど、この場から暁のもとへ向かうなんて、そんなことできるわけないし...。
夕くんとは2回目に会ったときに連絡先を交換したし、今日のところはひとまずこっそり帰ろうーー。
そう思い、グラウンドに背中を向けて、早足で歩き進めたそのときだった。
「おい。不法侵入」
真後ろから背中にそんな言葉が投げ掛けられた。
心臓が大きく跳び跳ねた。
振り向かなくてもだれかなんて一瞬でわかった。
振り返ると、そこには走り終えたあとの暁が立っていたーー。