イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で
「ふ、不法侵入じゃないし。夕くんの許可おりてるし...」
高鳴る鼓動を必死に落ち着かせながら、うつむいてつぶやいた。
だけど、鼓動が落ち着く気配はまったくみられなかった。
「ふーん。アイツが見に来いって言ったのか」
暁の足元は視界に入っていなかったのに、
暁はわたしの視界に入るくらいに近づいてきた。
そうしてまた、脈を打った。
やっぱり暁はわたしが見に来ることを知らなかったんだ。
「暁って馬鹿なの?」
ねえ暁。
わたし、ずっとこれを言いたかったんだ。
「は?」
わたしに馬鹿と言われ、暁の声が低くなった。
「お前にだけは言われたくねぇんだけど」
最もらしいことを言われた。
だけどわたしは、まったくひるがえらなかった。
「いいや、馬鹿だよ。
だって、大会に出るチャンスを棒に振るってまで、わたしのことを優先させたなんて...馬鹿がすることだよ」
いくらわたしがライブに行きたいって言ったからって、
もし選手決めのことを教えてくれたら、わたしは間違いなく選手決めに行ってもらったのに。
なのに、なにも言わずに、わたしを喜ばせてくれた...。