イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で
「...っ...」
「お。珍しく大人しい」
わざとらしくわたしの耳元で言葉を発せられた。
吐息が耳にかかるたびにびくんと反応してしまうわたしの体がこんなに熱いのは、きっとお風呂に入ったせいだけではない。
暁に触れられると、すべてが熱くなるんだ。
「言いたいことがあるなら、言えよ」
きっとすべてを見抜いている暁。
なのにわざとそんな言い方をしてくるんだ。
ほんと...意地が悪い。
だけど、今日だけ...
今日だけは、...素直になってやってもいい。
わたしはゆっくりと小さく...口を開いた。
「...ほんとは...引っ越してほしくない...さみしいよ...」
暁はあえて後ろに回ってくれたのだろうか。
顔を合わせないほうが、素直に言葉が出てきた。
「...暁も...さみしいって思ってほしい...同じ気持ちがいい...」
言いたいことが、言えてよかった。
胸がなんだか軽くなった。
だけどあまりの恥ずかしさに、顔から火が出そうなほど熱くなった。
こんなのわたしのキャラじゃないのに...っ。