イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で
「おじゃましまあ~すっ!」
「どうぞどうぞ」
玄関でローファーを脱いでいると、奥のほうからなにやらいいにおいがしていることに気がついた。
暁が料理してる?
暁は、時間があるときに料理して、それを毎日レンジでチンして食べるというスタイルなのだ。
「同居人いるけど、気にしないでね」
わたしは葵ちゃんに一言そう言って中に進む。
暁もわたしたちの存在に気づいているだろう。
自分の部屋に入るためには、どうしてもキッチンを通らなければならない。
「ただいま」
わたしは暁のほうをあまり見ないようにしてそれだけ言っておいた。
「おい彩」
すると後ろから呼び止められ、
「そこのイスに座れ」
なんて言ってくる。