イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で


一旦魚が焼けるまで待った。


チンと音がして、鯵が焼けたいい香りがしてきた。


お皿によそって、テーブルに並べて、席について落ち着いてから、ゆっくりと口を開いた。


「...暁あのね、お願いがあるんだけど」


「無理」


お箸で器用に鯵を裂きながら言い捨てた。


「まだなんにも言ってないじゃん!!」


「聞くまでもない」


「聞く気ないでしょ!?」


「ねぇよ」


「はあ!?」


「キーキーうるせぇよ猿」


「ちょ、猿はないでしょ!?」


一度心を落ち着かせたはずなのに、また言い合いになる。


わたしと暁は毎日こんな感じだ。


わたしはわるくない、暁が失礼なことばっかり言ってくるんだから!!


「ねえとりあえず聞いて!

5月20日って第3土曜日だから部活ない、よね?

まだ1ヶ月以上先の話だけど、空けといてほしいの」


わたしはひとまずはっきりとそうお願いした。


暁は部活の予定表を冷蔵庫に貼っている。


毎月第3土曜日が休みということが、一番下の備考欄に書いてあった。


「なにがあんだよ」


暁は今口含んでいるものを飲み込んでから、口を開いた。


その質問待ってました!


「あのね、**遊園地にリトスタが来るの!!」


わたしはついつい声が高くなった。


今度はわざとではない。

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