イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で
「はあ...はあ、」
どれくらい走ったのだろう。
だいぶ疲れてきた。
息があがる。
じわりと汗もかいてきた。
携帯で時間を確認すると、15時で、一時間近く走ったことがわかった。
こんなに走るの、人生で初めてだ。
わたしってこんなに走れるんだ。
そう思うとなんだかうれしかった。
初めての経験に喜びを感じる。
足がつりそうになって、走るのをやめてゆっくりと歩き始めた。
家から何キロも先の場所に来ていて、いつも走っていた2.5キロ圏内より先は、新しい景色が繋がっていた。
この景色を見れたことに、とても充実感を感じている。
“迷子になるな”なんて言ってきた暁。
たしかにわたしは方向音痴かもしれないけど、
県道をただひたすら真っ直ぐ走ってきただけだから、帰りもひたすら真っ直ぐ戻ればいいだけ。
右に行ったり左に行ったりしなければ、迷うことはない。