イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で


そこから動くな...?


どういうこと...?


そう疑問に思いながらも、暁の言われた通りに近くの花壇の隅に腰かける。


もう、歩きたくない。


というか、ひねった右足首が痛くて歩けない......。


マラソン大会のために練習していたのに、足首を痛めるなんてほんともとも子もない。


自分、ばかすぎる...。


はやく治るといいけど......。


時刻は18:15。


辺りはかなり暗くなってきた。


しかも、走っていて汗をかいていたから、風が少し吹くだけで寒気がする。


痛いし暗いし寒いし、

こんなことになるなんてだれが予想していただろう。


迷子にならないようには気を付けていたはずなのに。


やっぱり慣れないことなんてするもんじゃないーー。


「...この馬鹿が」


約30分後、息を切らした吐息混じりのその声が頭上から聞こえてきて...

わたしはゆっくりと、顔をあげた。


そこには、額に汗をかいて肩で息をしている暁が立っていたーー。

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