イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で
わたしの身長は169センチあるけど、暁は180センチあるから、いつも見ている景色よりも少しだけ遠くが見える。
暁が見てる景色はこんなかんじなんだ。
「お、重いでしょ!?おろしていいよ...!」
わたしは細身のほうだけど、身長があるからそれなりに体重だってある。
いくら暁でも、わたしをおぶって家まで帰るなんて...。
「黙っとけ」
決して強くない口調でそう言われ、わたしはもうなにも言えなくなる。
ただ、暁の背中にしがみつくことしかできなくなる。
わたしと同じシャンプーの香りと暁の汗が混じった匂いが、ゆっくりと鼻をかすめる。
わたしのためにかいてくれた汗だと思うと、まったくいやじゃなかった。
むしろうれしかった。
......そうだ、ずっと昔にも、同じようなことがあった。
小学生4年生のとき、わたしと暁は同じクラスだった。
遠足で登山をしているとき、わたしはポケットに入っていたはずのハンカチが無くなっていて。
勝手に一人で来た道を引き返していると、いつの間にか迷子になって。
必死にみんなを探していると、足を滑らせて、少し坂になっているところに落ちてしまったんだ。
足を擦りむいてそこで大泣きして歩けないでいるところを、暁が助けに来てくれた。
あのときも、今と同じようにわたしをおぶって頂上まで連れていってくれた。