イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で
覚悟しとけ
「こんな重たいスニーカーで走るとか、お前陸上なめてんのか?」
「もっと腕ふれ足あげろ!胸はれ腰はまっすぐ背中曲げてんじゃねぇ!」
「下向くな!常に遠くを見ろ!」
はい。
.........昨日の甘えてきた悪魔は、やっぱりただの悪魔でした。
次の日、日曜日。
わたしは昨夜ほとんど眠れなかったというのに、隣で気持ち良さそうに目覚めたコイツは、「走りに行くぞ」と強制的にわたしを連れ出した。
あの...暁さん、超スパルタなんですけど...。
「暁、わたし一応怪我人だよ!?」
立ち止まり、右足首をこれでもかっていうくらい指を差す。
「あぁ?それくらいの腫れで怪我とか言ってんじゃねぇ。それにテーピング巻いてやったから余裕で動くだろーが」
優しさの微塵もない返答。
昨日の、今までにないくらいのとびきりの優しさはいったいどこへ......?
しかも、“それくらいの腫れ”で迎えにきてくれたのは暁のほうでしょ??
あれ、もしかして昨日の全部、幻だったのかな????
たしかに暁は家を出る前にテーピングを丁寧に巻いてくれて、そのおかげで腫れなんてなかったかのように動くわたしの右足首。
これはさすがの技だと思った。