イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で


「...なんだよその格好」


「な、なにが?」


「......葵か」


お互い支度ができて、家を出ようとしたら、暁にそんなことをつぶやかれる。


わたしはなんだか気恥ずかしくなった。


「い、一応言っとくけど、暁と出かけるからってオシャレしたわけじゃないんだから!!リトスタの二人のためだから!!勘違いしないでよねッ」


「なんも言ってねーよ」


ピンク色のノースリーブのトップスに、白いシフォンの膝上スカート。


今まで生きてきてこんな甘々キュートな格好をしたことが一度でもあっただろうか。


正直、今日の朝までほんとうにこれを着るか迷った。


でも、せっかく買ったんだし、着ないともったいないと思ったのだ。


葵ちゃんにあんなに似合う似合うってほめられて、店員さんにも絶賛されるから...つい買っちゃったんだ。


わたしはパンツ派だから、スカート自体、小学生ぶりな気がする。


暁の私服も、久しぶりに見た。


普段、制服と部活のジャージと寝るときの格好しかほとんど見たことがなかった。


白いTシャツに紺のパンツ。


シンプルなコーデなはずなのに、こいつは背が高くて鍛えてるからなんだかめちゃくちゃ映えてる。


...なんかむかつく。


「JR何時発」


声をかけられハッとした。


「えっと、8時5分!ほら、ぼーっとしてないではやく行くよ!?」


「お前だろ」

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