イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で
「彼氏じゃなくて友達なのに」
少し歩いて、つぶやくわたしに、暁は「融通のきかねぇやつ」なんて呆れたようにため息をついた。
友達...とはちょっとちがうけど、彼氏では絶対ないんだもん。
幼なじみで、同居人...かな?
「彼氏って答えればいーだろ」
暁はわたしの手からチュロスを一本うばうと、わたしの無防備になった手のひらをスルリとすくって握りしめて。
「だって俺ら、今日カップルなんだろ」
余裕たっぷりの妖艶な笑みに、わたしは思わずドキッとした。
「...っ」
た、たしかにそうかもしれないけど...。
わたしは戸惑いを隠すかのようにチュロスを頬張った。
繋がれた手のひらは、このままでもいいかななんて思った。