イケメン悪魔とツンデレ美女、ひとつ屋根の下で
鍵を受け取ったわたしたちは、部屋に入る前に、夜ご飯を食べることにした。
ホテルのすぐ近くに有名な郷土料理屋さんがあったため、そこで食事をすませた。
料理はすごくおいしかった。
「今日は食べ過ぎたね」
「だな。まあ今日くらいいいだろ」
「そうだね!」
そんな会話をしながら郷土料理屋さんからホテルに戻り、泊まる部屋へと向かった。
わたしはホテルに入ってから冷静を装っているけれど、内心戸惑いを隠せない。
暁と毎日ひとつ屋根の下で暮らしているけれど、シングルルームにふたりきりなんて、まったく話が別だ。
「おい」
「っひゃ!?」
「鍵開けろって」
いつのまにかたどり着いていた扉。
「あ、う、うん!」
そ、そっか、鍵、わたしが持ってたんだった。
戸惑いは内に秘めていたはずなのに、隠しきれず、慌てながら鍵をガチャリと開けた。
「...意識しすぎだろ」
暁が後ろで小さくなにか呟いて、なんのため息かは分からないけど、小さなため息をこぼした。