* Reality * ~鏡の顔~
「水瑠さん、君は今付き合っている人 恋人はいるのかな?」


やっぱ それ聞いちゃう?その答え なるだけ避けたいんだけどね…言いたくないのが 正直な話。


「私、彼というか恋人は作らないスタンスなんです。」



「それって…裏を返せば 君は誰のものでもないって勝手に思ってもいいって事なのかな?」


わ、出たーーー
男の勝手な思い込み、都合の良い解釈が…。まぁ面倒くさいから それに乗っかるけどね。


「まぁ、そうなりますね。私はいつも自由であり、束縛も嫌いなんです。」


「やっぱり君は面白い。下の名前を聞いてもいいかな?」


「胡桃です。」


「じゃあさ胡桃、今日は俺との時間を過ごさない?」


「専務との時間?それは、仕事後のプライベートな時間の事でしょうか?」



「ああ勿論。退屈な日常を忘れる時間を、君と過ごしたい。それと堅苦しい敬語は二人きりの時はなしでいいから。」



はぁ?やっぱこの人頭おかしい。
退屈な日常とか 真面目に言ってる専務に吹き出しそうになるのを ぐっと我慢する。


「氷室さん、あなたの名前も私に教えて?」


「大也(だいや)だ。堅苦しい呼び方は止めて これからは大也と呼んでくれ。」


「大也。あなたにピッタリな名前…。」


「クスッ。胡桃に呼ばれると 気分が上がるよ。さてと商談も無事に終わったし、社に戻る前にランチにしようか?」


流石大物なだけある。仕事は人任せなのに、休憩はしっかり取るとか、働かざる者食うべからずってことわざがある事 教えてあげようかと、本気で思ってしまった…。










< 16 / 37 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop