* Reality * ~鏡の顔~
今日はミッションの進捗状況を報告に来ていた。

いつ来ても緊張する。本来の私のオフィスなのに、全然馴染めない…。

「おはようございます。」

「ああ、お早う。今日はここが仕事場?」

ボスの秘書の片桐さんだ。

いつもクールな態度と言葉が凍りそうなイケメン。かなり頭は切れるけれど 人を馬鹿にした感じが好きになれない。


「はい、動きがありましたから、報告に来ました。」


「成る程…だけど水瑠ここでは話さない決まりだったはずだけど?お前馬鹿?」


そうだ。どこで漏れるかわからない状況の中、ミスった…。


「───中途半端な情報は返って撹乱出来るのでは?」


エレベーターの中での壁ドン…。


は?これ何の嫌がらせ?意味ない行動程 時間の無駄使いだと思う。


「敢えて囁く報告とかが希望でしょうか?ボス?」


エレベーターの中の監視カメラ目線で話す私がいて…


「流石にボスの監視下で お前を襲うとかないから…」

長めの前髪を払いながら、流し目で私を見る片桐に ブルっと身震いする。


「私にも好みがあります。あなたも無理に生意気な女を手懐ける必要はないでしょう?」


「全く持って その意見に賛成。だけど裏表ないお前とは気が合うから俺達付き合う?」


ウィンク1つ余計な提案をするあり得ない人がいて、急に彼の携帯が鳴る。


「ちっ。ボスがお待ちかねだ。早く来いとの無言の催促の電話だよ。」


「流石ボス───。片桐さんも形無しね。」

クスクス笑いながらエレベーターを二人で降りる。


さてと。私の裏ミッションが始まる事は…私だけのシークレットで心に仮面を付け、ボスの待つ部屋の前に向かった…


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