本当のワタシ
「っっ…行くぞっ!」
伊月が動揺しながらも、戦いを再開し、翔炎の勝利が確定したところで、この人たちを解散させた。
「ハァーッ…疲れた…」
「ったく…」
皆疲れているみたい。
私はあのあと隅によってたから…。
「沙恵」
聞いたことのないほど低い声で呼ばれ、振り返ると黒笑を浮かべている伊月がいた。
「ひぃ…」
「幹部室から出ないでって言ったよね…?」
「うぅ。だって皆が心配だったんだもん…」
「俺は沙恵の方が心配だよ…。俺たちはそんなに簡単に殺られないから安心して」
「うん…」
少し反省した様子を見せると、伊月は満足そうに頷いた。
「そう言えば沙恵、喧嘩できるのか?」
颯馬が少し私を探るような目をしている。
あぁ。私が回し蹴りしたから…。
「喧嘩はできないよ。でも武術を習わされていたから」