本当のワタシ


「っっ…行くぞっ!」


伊月が動揺しながらも、戦いを再開し、翔炎の勝利が確定したところで、この人たちを解散させた。



「ハァーッ…疲れた…」


「ったく…」



皆疲れているみたい。

私はあのあと隅によってたから…。


「沙恵」


聞いたことのないほど低い声で呼ばれ、振り返ると黒笑を浮かべている伊月がいた。


「ひぃ…」


「幹部室から出ないでって言ったよね…?」


「うぅ。だって皆が心配だったんだもん…」


「俺は沙恵の方が心配だよ…。俺たちはそんなに簡単に殺られないから安心して」


「うん…」


少し反省した様子を見せると、伊月は満足そうに頷いた。


「そう言えば沙恵、喧嘩できるのか?」


颯馬が少し私を探るような目をしている。

あぁ。私が回し蹴りしたから…。


「喧嘩はできないよ。でも武術を習わされていたから」
< 46 / 61 >

この作品をシェア

pagetop