本当のワタシ
屋上に着くと、結は私の正面に立った。
そして、今まで見たことの無いような真剣な顔をしていた。
「…沙恵、あのね、私は…
水龍の幹部なの」
「…………え?」
私が声を発したのは10秒後だった。
結が幹部…?
水龍?咲夜の族だよね?結?幹部?
「ごめんね、黙ってて…。バイトも嘘。本当は倉庫に行かなくちゃいけなかったの…本当にごめん、最低だよね、沙恵を騙して…」
「すごい……」
落ち込む結に対して、私の口から出た言葉はそれだった。
「…へ?」
「幹部なんて強いんだね。言ってくれてありがとう。
なかなか言えないよね、水龍ってすごく有名だし」
「沙恵…」