本当のワタシ


屋上に着くと、結は私の正面に立った。

そして、今まで見たことの無いような真剣な顔をしていた。



「…沙恵、あのね、私は…




水龍の幹部なの」




「…………え?」



私が声を発したのは10秒後だった。


結が幹部…?


水龍?咲夜の族だよね?結?幹部?



「ごめんね、黙ってて…。バイトも嘘。本当は倉庫に行かなくちゃいけなかったの…本当にごめん、最低だよね、沙恵を騙して…」


「すごい……」


落ち込む結に対して、私の口から出た言葉はそれだった。


「…へ?」


「幹部なんて強いんだね。言ってくれてありがとう。
なかなか言えないよね、水龍ってすごく有名だし」


「沙恵…」
< 59 / 61 >

この作品をシェア

pagetop