メガネの奥の美人さん
会社にいるより後輩君は、よく笑う。
話していても楽しかった。
美味しいチーズもいっぱいで。
色んなワインを試してるうちに…
さすがに酔いがまわってきた。
あたしと同じだけ飲んでるはずなのに、
少し赤いだけで、全然変わらない。
稲葉君、もしかしてすごいお酒強い?
そうでもないですよ。
なんか途中から、今日は、酔うわけにいかない
なーと思ってたからかな。
え?なんで?
原さん、送ってかないと。
酔ってます…よね?
そう…かなぁ。
そんなでもないと思うけどなぁ…。
酔っ払いは、自分を酔っ払いとは
言いませんもん。
さ、そろそろ帰りましょう。
と、さっさと席を立つ。
店を出ると。
風が気持ちいいですね。
酔い覚ましに駅まで、歩きます?
あー。そうだね。まだ時間も早いし。
じゃ、行きますか。
あ、でも、稲葉君こっちの駅じゃないよね?
俺、送るって言いましたよね?
ちょっとムッとしてるようなのが
不思議だった。
面倒じゃないかなと思ったから。
一応、後輩とは言え…。
女の人を一人で帰すのは、俺のポリシーに
反するから。
酔いも手伝ってるんだろうけど…
ムキになる姿が、可愛い。
じゃ、お言葉に甘えて。
よろしく。
そうそう、最初から素直にそう言ってくれれば
いいんです。
急に、また上から?
2人で笑いながら、駅まで歩く時間は
思ってた以上にあっという間だった。