朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
「……父さん、この前もあれ、怒ってるわけじゃないよ?」
「ああ……だといいんだけど……」
あれで怒ってない……さすが、娘の瞳はすごいな。
在義さんが本気で怒ったところは数えるほどしか見たことがないけど、いつもにこやかな在義さんが真顔になるだけで、見る者には恐怖を与えるんだよな。
咲桜がふわっと笑った。
「流夜くんって在義父さんすきだよね」
「なんだ、いきなり」
「父さんのこととか結構気にするし、心配してくれるし」
「そりゃ……ずっと世話になった人だし、尊敬しているからな。龍さんと二人。吹雪や降渡もそんな感じだろ?」
「うーん。そうなんだけど……」
咲桜の認識では少し違うのか、首を傾げた。