朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
咲桜の中の基準は、大分が在義さんに準じていることはわかってきた。
在義さん自身が邪道優等生とか苛烈な太陽の塊とか、危なっかしい評価ばかりされているあたりの、まさにそれを継いでいる。
もしかして、俺が在義さんを慕っていたのは咲桜に繋がるための布石だったのかもしれない、なんて思ってしまう最近だ。
「……宮寺のことなんだけど」
「……うん」
咲桜が居住まいを正した。ってか、真面目な話でもしていないと危ない。
「俺が美流子を探してる経過の中で顔見知りになったんだ。――美流子のこと、聞いたんだよな?」
「……うん」
咲桜は素直に肯いた。
別に吹雪たちに口止めもしていないから、幼馴染の関係上、咲桜にも知れていて当然の話でもある。