朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
「最初の頃は模試とかの成績で反目されてた。そのうち、絆――諏訪山絆(すわやま きずな)ってのがいんだけど」
「きずな、がお名前? 男の人?」
珍しい名前だからか、咲桜は問うてきた。
「いや、女。降渡の」
「降渡さんの」
「そ。学年は一個上で、降渡と同い年。高等部で風紀委員やっててな。……降渡が授業に出ねーのをどうにかしようと騒いでたらしい。結局意味なかったけど」
「ああ……」
授業に一切出ずに試験は一位を取りつづけて留年した件は、咲桜も承知のようだ。
納得したように吐息をもらした。