朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
「今も行方不明扱いの姉を、流夜はずっと探してるんだ。……もう亡くなっているかもしれない。犯人に連れ去られた可能性が一番高いからね。その人を探して、今も流夜は生きているんだよ」
「………」
私の瞳は手帳の字に停まったままだ。
流夜くんが警察に関わり続けている理由の一つ。
その対象まで教えてくれたことはないけど……。
「―――」
無性に、流夜くんに逢いたくなった。
「……犯人は、捕まってないんですよね」
私の呟きに、隣の吹雪さんが肯いた。
「うん。でも、時効撤廃に間に合ってね。もし犯人が見つかれば、逮捕、刑事裁判にはかけられる」
刑事裁判。
流夜くんは、生まれた時から事件の中を生きている――。