朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】


「今も行方不明扱いの姉を、流夜はずっと探してるんだ。……もう亡くなっているかもしれない。犯人に連れ去られた可能性が一番高いからね。その人を探して、今も流夜は生きているんだよ」


「………」
 

私の瞳は手帳の字に停まったままだ。
 

流夜くんが警察に関わり続けている理由の一つ。


その対象まで教えてくれたことはないけど……。


「―――」
 

無性に、流夜くんに逢いたくなった。


「……犯人は、捕まってないんですよね」
 

私の呟きに、隣の吹雪さんが肯いた。


「うん。でも、時効撤廃に間に合ってね。もし犯人が見つかれば、逮捕、刑事裁判にはかけられる」
 

刑事裁判。
 

流夜くんは、生まれた時から事件の中を生きている――。

< 11 / 308 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop