朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】


……素直に訊かれて、後ろめたいものを感じてしまった……。


「俺は入らないよ。俺が降渡と絆に割って入ったってのは、宮寺の誤解。何度も説明したんだけど、納得してくれなくてな。そういう経緯で、俺が宮寺に敵視されてるわけだ」


「邪魔したって……なんで宮寺先生はそんな誤解を?」


「……それは俺に非があるんだけど……」
 

あー、言いたくねえ。


なにを好き好んで自分の女――しかも初めて好きになった子にこんな話を。
 

……咲桜がじーっと見て来る。


……話さないわけにはいかない、か……。


「……順を追って言うとだな?」


「うん」


「最初、俺と吹雪が高等部に入った。降渡が留年していて、同じ学年になった。俺らの進学で、降渡がわざと留年したと絆が気付いてしまった」


「ふむ」

< 110 / 308 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop