朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
「絆さんは降渡さんのこと、信じきれてない、の?」
「そう……なのか? 降渡のことを、軽薄な奴の言うことなんか信じられるか、って突き放したりもする。癖に、傍から離れない」
「そっか。……でも、それは降渡さんの失態だと思うよ。『軽薄』、って認識されてしまうところ」
「……厳しいな」
「誤解されることをしたら、それはダメなことだよ。一度裏切られたら、どれほど謝られたって、優しくされたって、癒える傷ばかりじゃないんだから――」
「咲桜?」
突然声が沈んでいくのを見て取り、咲桜の頬に手をあて少し上向かせた。
……瞳が潤んでいる。
「誰の話をしている?」
「―――」