朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
朝間先生が在義さんを慕っているのは、見ていればすぐにわかる。
幼馴染だと聞いているけど、あとから現れた桃子さんに対して嫌な感情はないのだろうか。
咲桜はそれまでの沈んでいた様子と打って変わって、嬉しそうに瞳を輝かせ出した。
「そうなの! たぶん桃子母さんのが年上なんだけど、桃子母さん記憶障害のせいとかで色々と幼い感じでね、夜々さんのがお姉さんみたいだったの。夜々さん高校生だったんだけど、よく母さんに料理とかお裁縫とか教えてくれてて。だから私には生まれた時からお母さんは二人いるんだ」
桃子さんと朝間先生か……。
少しばかり朝間先生の評価が変わってしまいそうな、いい話だな。
「へー。朝間先生、面倒見はよさそうだよな」
「うんっ。そのうち私も夜々さんに憧れちゃってね、桃子母さんみたいな可愛い子と友達になりたいなーって思うようになってね」
「待て。今の発言は色々おかしい」
「え? どこが?」
ほとんどだよ。
……とは、口にはしなかった。