朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
流夜くんの過去に気を重くしてしまった様子の笑満に、降渡さんが声をかけた。
先輩は恨めしそうに降渡さんを睨んでいる。
「そうですねえ……あまり目立たない感じですかね。眼鏡で素顔隠しちゃってるし。言葉遣いも優しい感じで、咲桜の彼氏の顔とは大分違います」
「へー」
「ってお前知ってんだろ。不良探偵」
また先輩に悪態をつかれた降渡さんは、ははっと軽く笑ってかわす。
「降渡さんて探偵なんですか?」
「笑満ちゃんそいつに興味持っちゃダメ!」
笑満が少し訊いただけで、間に先輩が入って来た。
「遙音くん?」
「遙音、普通会話くらいゆるしてよ」
「……こいつは有能だけど素行不良探偵だから笑満ちゃんが近づいたら汚されるから近寄っちゃ駄目だ」
先輩、一息に言い切った。
言い方非道いな……。