朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
「もううちの生徒もほとんど知らねーかな。藤城と桜庭――こいつらの出身って桜庭学院なんだけど――って、なにかといがみあってんじゃん? 確か創立者同士の因縁だっけ?
んで、こいつらが高校に在籍した三年間、藤城は一度も桜庭の三人を抜くことが出来なくて、あと、こいつらが優秀過ぎて桜庭でも埋没した優秀な生徒が多くて、『悪夢の三人』とか呼ばれてんの」
「あ、あたしそれ知ってます」
笑満が挙手して答えた。笑満は、学年主席の頼に次ぐ成績を誇る。
……その点、私は一人大分後ろにいるんだけど。
「『悪夢の三人』? って言うの?」
私が首を傾げると、笑満はうんと肯いた。
「位置的には桜学(さくがく)の初代Pクラスみたいな感じかな。あっちはクラスとして設立されていたけど、悪夢の三人は特別な位置ではなかったですよね?」
「まーね。周りが勝手に言ってるだけだし」
降渡さんが困ったような顔で応じる。