朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】



「……ん? 神宮、なんか顔紅くね? お前ら酒は飲まねーだろ?」
 

降渡の件も片付いて食事も終えて、遙音が帰り際にそんなことを言った。


「あ?」
 

俺が返すと、呆れた顔をされた。


「お前また熱出てんじゃねえの? 今日はふゆんとこ行くなよ?」
 

降渡まで注意してきて、遙音は肯いている。


「神宮って簡単に風邪ひくよな。んで治るのも早―の。なにその仕組み」


「仕組みっつわれても……」
 

返答に困る。自覚がないから。


「あれだ、遙音。りゅうは風邪症状が目に見えやすいだけなんだよ。大体ぱっと熱出てすぐ引くからなー。喉にきたりしねーから、見た目アレでも軽いんだよ」


「あー。そういやこの前は咲桜来なかった? 俺が送り込んだんだけど」
 

遙音が鞄を置いてにやにやし出す。鞄を置くな。帰れ。


「あ、咲桜ちゃんと言えば――」
 

と、降渡が勝手に引き出しを探り出す。

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