朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】


風邪症状では熱が一番に出る。


どういう理由か、降渡が言う通りなのか、ひきやすい癖に治るのも早い。


熱が最初に出るから発散されてしまうのか? 大体半日もあれば治る。


だから今まで『風邪をひいている』自覚がなくて、この前咲桜には怒られた。


「とにかく、今日はお前も夜歩き禁止。ふゆには連絡しとくから、行ったところで蹴っ飛ばされて強制送還だ。諦めろ」
 

と、素早くスマホをいじる降渡。


非難めいた視線が送るが、体調悪いときくらい寝てろと無視された。


「そうだ遙音。今度お前も龍さんとこ来いよ。なんかこの前愛子来たらしいぜ。あいつ出禁にされてたのに」


「春芽さん何やったんだよ」


「店の客と喧嘩」
 

遙音が半眼で見るのを流して、降渡は流夜にひらりと手を振った。


遙音は、吹雪を『春芽』、愛子を『春芽さん』と呼び分けている。

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