朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
「………」
少し悩んだ。
弁当の件、明日咲桜に話そうと思ったが……咲桜のことだから「なんで早く言わないの! 今日作ってきたのに!」とか怒られそうな気がしたので、メッセージを入れておいた。
時間としてはもう寝ているかもしれないけれど、咲桜に偽っておくのは気が落ちる。
――どうしてなのだろう。
咲桜や遙音に改めて問われれば、答えはなかった。
曖昧で感覚的な答えで二人とも引いてくれたけど――どうして自分は咲桜だったのだろう。
障害は大きすぎる相手なのに。
「………」
それでももう、諦めたり引き返したりする気なんてさらさらないのは、どうしてなんだろうか。
わかんね。それこそ咲桜にも問いたい。
……――どうして俺を選んでくれた……?