朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
「笑満が信じるのは遙音先輩でいんじゃない? 遙音先輩、笑満に嘘ついたりからかったりする人じゃないように見えるよ。私や頼はよくからかわれてるけど」
私のことを流夜くんがらみでからかっているのは本当だけど、頼のことは恐れている面もあるみたいだけど。
『そう……かな?』
「そうだよ。そんなびくびくしててどうすんの」
『そ……か……』
「そうだよ! あ、だからね、遙音先輩と一緒に帰るとか、私や頼に遠慮しなくていいからね?」
二人には、時間を取り戻してもらいたい。
いや、取り戻すなんておこがましい言い方かもしれない――二人の時間を築いてほしい。
誰より幸せを願う友達。
『うん――』
ありがとう。
小さな声で、笑満が肯いた。
思いはほかほかしてくる。
「うんうん」
私も楽しい気持ちになって肯いた。
自分のことのように頬は緩んでにやにやしてしまう。