朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
「頼が何か言うようだったらちゃんと言ってね?」
『いや、あたしには何も言わないでしょ、頼は』
「そう? ごちゃごちゃ言ってきそうだけど……」
『咲桜にはごちゃごちゃ言うだろうけどねー。でも、目下は宮寺先生か……』
「笑満」
私の声は少し尖(とが)った。
案じてくれるのは嬉しい。けど。
……でもね。今日は、ね。
「今日は笑満の嬉しい日です。今日くらい自分の幸せ抱きしめててよ。私の心配はしないでいい」
『―――』
笑満は押し黙った。苦笑を浮かべて続ける。