朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
「あー、じゃ、じゃあ次の日曜はまたうちでお菓子作ろう! お菓子作りは笑満先生頼りだから、そういうのを遙音先輩にあげるのいんじゃない? 笑満が作るのすきだって知ってるんだったら、もっと嬉しくなるんじゃないかな」
『………』
笑満、黙った。
……妄想してるな。
咲桜の疑いは案の定で、直後に笑満は悲鳴をあげた。嬉しそうな悲鳴だった。
『は、遙音くんがー!』
「ど、どうした⁉」
『うう……昔、お母さんと一緒に作ったお菓子食べてくれたのと同じ顔で笑ってくれたー!』
「よ、よかったね」
『うんー!』
笑満は泣いてるんだか喜んでいるんだかわからない。
でも、そうか。二人にはそういう思い出もあるのか。