朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
「咲桜、俺の所為で色々苦労かけてきたから――あの人なら、たぶんそういうのからも護ってくれると思うから、この辺りでケジメ、かな」
「「………」」
苦労かけた自覚あったのか。
自覚あるならもっと早くにどうにかしてほしかったよ。
「……あの人はさ、本物の天才だよ」
「え、今度はなに? いきなり」
頼は突と喋り出した。
旧校舎に近づき、もう生徒も見えなくなる場所だ。
頼はまた「んー」と唸る。
「ちょっと探したんだけど、あの人は紛いなく間違いなく天才。春芽吹雪や雲居降渡は秀才ではあるけど――春芽吹雪は、まあフィフティーフィフティーな面もあるけど。……あの人は、タチが悪いタイプの天才だ」