朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】


頼が手にしていた創部届を笑満が奪って、その勢いで私の腕と先輩の手を摑む。


「流夜くん! 一応頼は生徒なんだから、その辺りはわきまえてくださいよ?」


「問題ない。迷惑かけてすまない」


「ならいいです。頼、ケジメ、なんでしょ?」
 

笑満に言われて、頼ははっとしたように瞬いた。


「じゃーまた明日! さー帰りましょー」
 

笑満が私たちの腕をぐいぐい引っ張って教室を出た。


「俺は引っ張らなくても素直に帰るよ?」


「はっ! ご、ごめんなさいっ」


「謝らないでいいから手繋いでていい? どっちかっつーとそっちの手は放してもらいたいかな」


「でも捕まえてないと咲桜が戻っちゃう」


「咲桜もそこまでわからない奴じゃないだろ。咲桜。――男同士の話だって、理解してあげろよ?」

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