朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
「なんか訊きづらいからわざわざお前を経由しているんだ。遙音が危惧していたんだが、本当に友情だけなのかって」
「………」
ああ……そのことか……。
この人ってそういうこと気にするんだ。原因はオトみたいだけど。
「どう、なんだ?」
先生は怖々と訊いてくる。
さっきまでは余裕しかなかったその態度に、面白いような悔しいような気持ちになった。
「友情じゃなかったら、あんた咲桜から手ぇ引くんですか?」
「まさか。俺に向けさせるだけだ」
その答えに息を詰まらせたのは俺の方だった。
部活の件とか嵌めた側として、居心地悪く前髪を掻く。
「……友情ですよ。周りからどんな風に見えてんのかは、まあ本人たちの自覚は、周囲の評価からはかなり低い位置にあるでしょうけど。……あいつらがあそこまで仲いいの、本当に笑満の命を咲桜が繋ぎ止めたからなんですよ」