朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
「命?」
「そ」
軽く肯いて勝手に、置いてあった椅子に座った。
「今は結構撤去されちゃってますけど、まだあった頃の話です。公園の遊具」
「………」
「ジャングルジム、だったかな? 鉄の棒で四角形の形に建てたあれです。夕暮れの公園で、笑満はそれに登ってました。笑満がうちの学校に転入する前日の話です――」
「………」
「笑満がそれまでに何がどうあったとか、そこは俺の興味範囲じゃないんで知りませんけど。でも、友人関係、人間関係で傷ついていたのはわかりました。俺は咲桜の写真をただ撮りたくて、その日もこっそり木の枝を持って、夕陽に黄昏る咲桜の写真を撮っていました」
「……それ簡単に盗撮って言わないか?」