朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
でも、正面切って見せてやる、これが、笑満が咲桜に懐いている理由。
咲桜が笑満を手放せないでいる理由。
「っつーわけです。俺に訊いたのは正解かもね。咲桜も笑満も、あれは客観性を持っては話せない」
終わりです、と使っていた椅子を片付けだす。
「にしても、あんたって綺麗好き? 旧校舎って汚ねえのにこの部屋はキレ―」
「……最低限に片付けてるだけだ」
「ふーん。ま、汚ねえとこに咲桜を送るのもやですけどねー」
ああ、それから。
「俺があんたのことチクらねえの、咲桜のためでしかないっすからね。もし付き合ってんのが他の生徒だったら、俺は即刻あんたを通報しますよ。不良教師―つって」
「………」
目線だけ鋭く、先生を射る。
「――咲桜に助けられたと思えよ、あんた」
布告。