朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
「でも先生の怪我は大きいかもねー」
「流夜くんに怪我⁉ お前が殴ったの⁉」
顔面蒼白になる咲桜。
さっきより顔色は悪い。
ぴらっと懐から写真を出した。咲桜は、今度こそ血の気が引いたようだ。
「お――お前それ見せたのかバカ―!」
「あははー。見せちったー」
ひょいひょいっと身軽く咲桜から逃げる。
咲桜は頭に血がのぼってしまったようで、猛然とこちらに突き進む。
笑満とオトはそれを見てため息をつきながら、旧校舎から離れて帰り道に歩き出した。
うーん、これも撮りたいなあ……。
夕焼け。
あの日に独りだった笑満は、今、友達と、ずっとすきだった人を恋人に、隣を歩いている。
……おめでとう、笑満。