朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
「も、もしかして今声かけちゃったのまずかったかな……華取さんに知られたら終生の嫌味を言われたり……」
「……宮寺先生?」
どんな心配をしている。
在義父さんを慕っている人って、同時に怯えてもいない?
「あ、ああごめんごめん」
気をとりなおすようににこっと笑顔を見せた。
なんか……流夜くんの言っていたイメージと違う? 流夜くんは心底から警戒しているみたいだったから、もっと悪人っぽい人とか嫌味な人かと思っていたけど……。
なんだか素直というか、率直な人というか、毒気が抜かれる気がする。
「遅くなってしまっても申し訳ない。それこそ華取さんに何言われるか……」
一瞬怯えモードが入ったけど、すぐに顔を切り替えた。