朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】


さっさか玄関を出て、笑満に電話をかける。


どこにいるかわからないけど、急がないと怒られる。


『あ! 咲桜咲桜! 大丈夫? なにかあった?』
 

コール一回も終わる前に笑満の大声が飛び込んできた。


「あ、うん。なんか父さんと知り合いだったらしくて、それで呼ばれたんだって。ほら、父さんの仕事、クラスとかにばれないように気を遣ってくれたみたい」


『えっ、そうなのっ?』


『あー、宮寺っぽいな』
 

遙音先輩の声も聞こえて来た。


「笑満、どこにいる? もう帰ってる?」


『うん。流夜くんに話したら、わかったから帰れって言われて。残るって言ったんだけど、面倒にならないように、ほら、あたしは遙音くんと帰ってるって流れにしたし』


「だったね。わかった、ありがとう。メッセージ入れておいてみるよ」


『そうして。でも本当に――なにか危ないことはなかったの?』


「うん。本当に父さんの話しかされなかった」


『そっか。……でも、在義パパと知り合いってことはさ、』

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