朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】



流夜くんに、宮寺先生からは在義父さんの話しかされなかったから大丈夫、とメッセージを送った。


流夜くんからの返事は遅いときもあるから、特に気にせず帰路につくことにした。


さっきまで旧校舎にいたからと言って、今もそこにいるとは限らない。


職員室なんかにいたら迂闊に開けられもしないだろう。
 

結局一人で帰ることになってしまった。
 

片田舎の道を歩いていると、前方に見覚えのある車が片寄して止まっていた。


幸い、車幅は十分にある道だから行き交いに問題はないけど……。
 

どうしよう、これは絡んだ方がいいのか? 


……絡んでいかなくても絡んでくるんだろうなあ、と予測はつく。
 

ちょっと歩くスピードを緩めて、車の中を窺うように近づいた。


案の定、窓が開いて中にいたのは『流夜くん』だった。


「……こんばんは」


「乗れ」
 

絡まれた。


「いいんですか? 今日は警戒しないとでは」

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