朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】


あ、変わった。


青だよ、と伝えると、顔をあげて、すぐ左手側にあった公園の駐車場に車を入れた。


エンジンを切る。


「あの……ごめんね? でも本当に流夜くんのことは何も言われてないから、ばれてはないと


「そこじゃない」
 

きっぱり否定されて、困った。えと……じゃあなんだ?
 

唯一思案していた答えを否定されてあわあわしている私の肩を、流夜くんが摑んだ。
 

勢いで顔が流夜くんの方に向く。


カチリと音がしてシートベルトが外された。


流夜くんの肩を摑んでいない方、右の手が私の頬に伸びて、思わず目を瞑った。


「………っ」
 

しかしいつもの大きな手は触れず、変わりに歯噛みする微かな音がした。
 

そろりと瞼を持ち上げると、流夜くんは何かをこらえるような顔でこちらをじっと見ていた。


「りゅ、やくん……?」
 

何かを思い詰めている様子。

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