朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
「………」
え。
「すぐに結婚、ってのも急すぎるかな。俺は、本当はそうしたいとこだけど。一応、卒業までは待つつもりはあるから――咲桜?」
固まった。
「咲桜? 大丈夫か? ……いきなり過ぎて引いたか?」
はっとして、ぶんぶん首を横に振った。
「ま、待ってて、くれる、の? そ、卒業までって、あと――ほとんど三年もあるよっ?」
「たった三年だろ。これからずっと一緒にいるんだから、それからしたら短いもんだろ」
「~~~」
ああもうどうして。
「……受けてくれるか?」
こっくり、肯いた。
瞼が伏せ気味に、流夜くんの手を握り返す。
あふれるばかりではない。この人は、腕を広げて真正面から受け止めてくれる。
……私の気持ち。私から伝えられる、ことば。
「愛してます。ずっと、傍にいさせてください」