朧咲夜3-甦るは深き記憶の傷-【完】
「う……お、お前がいきなり言うからじゃねえか! 俺は絆のこと大事にすんの!」
「じゃあ今日の俺は咲桜のこと大事にしてねえってことか?」
「そうじゃねえけど! なんでりゅうは俺にはくそ意地悪ぃわけ? もっと優しくしてくれよそのうち泣き出すぞー」
「大丈夫。放置して絆に電話しといてやるから」
「ひでえよ扱い! つーかお前の電話に絆出んの? え、そこまで仲直りしたの?」
「高校を出てから個人的に連絡を取ったことは一度もない」
「そんなんで偉そうな発言かますな!」
ごちゃごちゃ五月蠅いので、さっさか一人で部屋に入って扉を閉めた。ガチャン。
ガチャ。
「そこまで無視すんなよー」
「……不法侵入を軽くするな」
秒間もなく扉は再び開いて、降渡が恨めしそうに顔をのぞかせた。
仕方ないので放っておく。